2018年度診療報酬改定:「特別対談:2018年度診療報酬改定と対策」

2018年1月30日 17:33

2025年に向けた医療介護の一体化改革が進む中で、「惑星直列」といわれる2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定は大きなメルクマールとなります。

各種セミナーや勉強会が開催されていますが、「ボリュームが多すぎて、何がポイントなのか良く分からない」「結局、どうすれば良いか良く分からない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで、本連載では、弊社の病院経営研究会で常任講師を務めて頂いています、株式会社MMオフィス 代表取締役 工藤 高 氏と、地域包括ケア支援部部長の北里淳が「日本一わかりやすい2018年度診療報酬改定」を目指して、対談致します。

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株式会社MMオフィス
代表取締役 工藤 高 氏
船井総合研究所
地域包括ケア支援部 部長 北里 淳
(社医)河北総合病院、(医)亀田総合病院分院等の合計18年間にわたる病院勤務を経て99年より現職。専門は診療報酬側面からの病院経営戦略立案。『日経ヘルスケア』好評連載中 医療機関のコンサルティングに10年以上の経験を持つ。医療・介護分野全体を統括し、病院経営を中心として現場主義を徹底し、クライアントの業績アップ、幹部育成などのマネジメントを行っている。

第1回:2018年度診療報酬改定の最大の目玉は?

北里 2025年問題から逆算すると、2018年度診療報酬改定は大きな転機になると思います。
今回の診療報酬改定の位置づけはどのようにお考えでしょうか?

工藤氏 2018年度は6年に1度の診療報酬・介護報酬同時改定となります。さらに地域医療構想を含む医療保険計画や第7次医療計画、新専門医制度などが開始されますので、2025年に向けて、より強くアクセルが踏み込まれていくと思います。

北里 今回の改定には色々な要素が盛り込まれていて、関係者もついていくのが大変ですが、2018年度の診療報酬改定の一番の目玉はどういった点になりますでしょうか?

工藤氏 やはり、入院料の大改革でしょう。これは2000年改定以来の入院料大改革と言える内容です。まずは「3つの廃止」があります。「DPC暫定調整係数」・「療養型入院基本料2」・「介護療養病床」の廃止が予定されています。もう1つは療養病床の移行先である「介護医療院の新設」です。2018年4月以降、療養型入院基本料2や介護療養病床を持っている病院は、これからの病院経営について選択を求められていきますね。

北里 おっしゃられる通りだと思います。すでに弊社にも、療養型病院からの相談案件が増えてきています。

工藤氏 中医協が12月6日に開いた総会では、入院医療の評価体系の抜本的な見直し案が出されました。まずは「3つの廃止」があります。ここも当然おさえておかなくてはいけません。

「二つの評価の組合せによる入院医療の評価体系(イメージ)」(中医協資料より)

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この評価体系の大切なポイントは、「急性期医療」(7対1、10対1)、「長期療養〜急性期医療」(13対1、15対1、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟、「長期療養」(20対1の療養1)を、入院料(基本部分)と診療実績に応じた段階的な評価(実績部分)の2階建ての組み合わせによる評価体系へ再編・統合するという点です。

北里 工藤さんとしては、入院料(基本部分)と診療実績に応じた評価(実績部分)に分ける狙いをどう見ておられますか?

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工藤氏 この評価体系の画期的な部分は、トッピング(上積み)となる部分が「診療実績に応じた段階的な評価」になるということです。2018年度の改定は、「〇%」という看護必要度の新基準だけですが、2020年以降の改定では、薬剤師やリハビリセラピスト、管理栄養士などのメディカルスタッフの病棟配置によるチーム医療の評価や、医療のプロセス(経過)やアウトカム(治療結果)などの「診療実績」が段階的に入る可能性が大きいです。同様に13対1と15対1も基本部分、長期療養では20対1が基本部分として2階建て入院料へ見直すこととなっています。

北里 医療の質を評価する体制が整ったといった状況ですね。このような変化の中で、病院にはどういった対応が求められていくでしょうか?

工藤氏 やはり、「ルール(制度)が変わったら戦略、戦術を変えないといけない」ということが基本でしょう。2025年まで診療報酬改定は本年も入れて4回あります。大病院は入院中心、200床未満の中小病院と診療所は外来、在宅医療を中心の機能分化政策を改定の度に推し進める予定です。その変化のスピードは速いために医療機関には迅速な対応が求められます。

北里 一部の中小病院では、専門性を持って急性期機能を突き詰めいている病院がありますが、マクロに捉えた場合は、中小病院はかかりつけ機能が中心になっていく流れですね。

工藤氏 そうですね。経営的に厳しい病院は根本的に、地域の患者や他医療機関のニーズ、医療行政の方向性と何かしらのミスマッチが生じていることが多いので、そういった意味では専門性を持った中小病院もありでしょう。

北里 こういった病院としての役割をどのように決めていくべきでしょうか?

工藤氏 先ほども言った、地域の患者や他医療機関のニーズ、医療行政の方向性、加えて、今後の人口動態や患者需要、他医療機関の動きを見ることが重要です。

北里 ありがとうございます。今回は、「2018年度の診療報酬改定で変化する入院医療のポイントと対応」というテーマでお話をお聞きしましたが、最後に読者の方に、一言お願いします

工藤氏 「ルール(制度)が変わったら戦略、戦術が変わる」のはスポーツでも同じです。それを経営が思わしくない病院の場合、常套句である「前例がない」ばかりにこだわってしまいます。
Jリーグ初代チェアマンだった川淵三郎氏はサッカーのプロ化にあたって「時期尚早と言う人間は、 100年経っても時期尚早と言う。前例がないと言う人間は、200年経っても前例がないと言う」という名言を残しています。

北里 経営環境の変化にしっかり対応していくことこそが、2025年に向けて自院の機能を客観的に見つめなおす第一歩ですね。「地域包括ケアシステムの構築」も「地域医療構想の実現」も医療制度および診療報酬自体も前例のない方向に向かっていますので、病院経営に前例はありませんからね。

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