アトランティック・ヘルス・システム

2014年10月 アメリカの先進企業を視察する船井総合研究所主催「グレートカンパニー視察セミナー」において、アトランティック・ヘルス・システムへ見学にいきました。アメリカの「働き甲斐の高い会社ランキング」で常に上位に評価される病院である同病院についてレポートいたします。

最も健康的な地域の創造

アメリカの「働き甲斐の高い会社ランキング」で常に上位に評価される、アトランティック・ヘルス・システムを訪問した際に最初に紹介された「our Vision(我々の目指すもの)」に目からウロコが落ちました。

アトランティック・ヘルス・システム「Empowering our community to be healthiest in the nation.(我々が活動するコミュニティをアメリカで一番健康的なコミュニティになるよう動機づける)」

予防医療に真剣に取り組むという想いが込められています。最終的な理想像は、病気で来院する人がいなくなることだ、とまで言い切ります。

そのための具体策として、治療以外に以下の活動を行っているそうです。

  1. 血圧測定、血液検査の無料実施
     病院だけでなく、ショッピングセンターなどの人が集まる場所に出かけていって行います。血液検査は指先から少量採取する簡便な方法で行います
  2. 料理教室
     健康はまず食事からということで、健康を増進し、肥満を予防することを目的とした料理を提案します
  3. 運動教室
     自宅で簡単にできる運動の提案

病気や怪我の患者だけを客と捉えるのではなく、予防医療というテーマを掲げることで、地域住民全員を顧客と捉えているのです。病気や怪我をした人がいかに満足するか以上に、地域全体が健康になることに焦点を当てています。
とても長期的で、マクロ的な発想です。VISIONに掲げるのにふさわしい項目です。同院が立地する地域住民の寿命は長くなるのではないかと思います。予防医療で広地域住民に接することは、結果的に患者獲得にも太く繋がっていると思います。

ヒーリング・カルチャー

アトランティック・ヘルス・システム玄関横には、テラス席が充実したとても気持ちのよさそうなレストランが設置されてありました。ここで食事をしている人がとても多様な人々でした。
 ・患者
 ・患者の家族
 ・地域住民
 ・病院のスタッフ

同院では、患者は部屋食かこのレストランで食べるかを選択できます。部屋では一人でさびしく食べなければなりませんが、レストランでなら見舞いに来た家族や友人と一緒に食事ができます。おいしく楽しく食事できれば、病気や怪我の治癒も速いのではないかと思います。そのような意図が込められていると思います。

医師やスタッフが顧客と同じレストランで食事するのは顧客に失礼だとは、同院では考えていないようです。各々がコミュニティの一員として一緒に食事するほうが望ましいと発想するようです。医師と地域住民がこの場で出会って、会話が始まるような環境です。

同院のミッションには「ヒーリング・カルチャー(癒しの文化)」という素敵な言葉が使われています。このみんなが集う食事スペースもヒーリング・カルチャーを表していると感じます。ヒーリング・カルチャーを実践するためには、食事は一人でよりみんなで食べるべきなのです。

スタッフの誕生日プレゼントは、このレストランの食事券です。

アトランティック・ヘルス・システム

アトランティック・ヘルス・システム

創業:1925年
所在地:アメリカ ニュージャージー州(同州最大の非営利医療機関)
売上:売上高16億ドル
ベッド数 :1599
医療機関数:4
その他:小児科1、リハビリセンター1を有する
専門分野に偏らず、全ての治療を病院で行う(AllCare)
従業員数:13,400名(うち3,700名が医者)

三浦 康志

文責:三浦 康志
株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント
あらゆる業種・業態・組織の「グレートカンパニー化支援」をコンサルティングテーマとする。その主な具体策は、人財開発、人財育成。自ら組織を運営、活性化し、業績を改善できる自律的な人財づくりを、様々な観点での研修やコンサルティングで支援する。国内視察研究会主宰。著書に、『ウォルマートの新人間主義経営―変貌するアメリカの小売業』、『ありがとうノート』(共にビジネス社刊)がある。

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